デュランダル



フレデリック・ランカスター(Fredrick Lancaster)
ドイツ基地襲撃事件を調査中、デュランダルに接触。事件の取材、情報提供を行っていた。[キャニオンクロウ]を参照。
 
 
EC陸上新戦術研究機関デュランダル(Armor Tactics Research Corps. Durandal)

第2次ハフマン紛争によってヴァンツァーの有用性は明らかになった。しかし、ECは実戦データ量でOCU、USNに大きく出遅れたため、2094年にEC各国軍の将官や士官らがEC全体でヴァンツァー戦術研究を行う組織の設立を中央議会に提言。保守派の妨害や軍事企業の推進活動など紆余曲折を経て、EC各国の共同出資で2096年設立。推進派議員の多くがイギリスの議員だったこと、イギリス軍が設立にもっとも寛容だったことにより、本部はイギリス・南西部(推定)となった。

軍出身者、機械工学・人間工学・心理学の専門家などが中心。当初は機密漏洩防止のためEC軍・軍事関係企業の人材を中心に採用していたが、今日では国を問わずEC内外から人材を幅広く採用し、新兵器開発、実戦理論、パイロット育成など多岐に渡る研究に取り組んでいる。

同じ隊内でも所属チームが異なる隊員は同士は顔を合わる機会が少なく、組織・業務はかなり細分化されている?。また、軍とは完全に独立した組織であるため、軍との装備品やりとりは禁止。有事の際は、部隊を編成し出撃することもある。

諜報活動や戦闘行為は二次的な位置付けであったが、マデイラ危機の事件調査活動によりその実績を残す結果となった。
 
     
 
小説版では、デュランダルの設立について幾分詳細に描かれていたのだが、ゲーム本編・攻略本の資料と記述が完全に合致しているわけではないなので、この別欄に併記するに留める。
余談だが、一連の事件当時、アロー1とアロー5は半年間の出張中だったらしく、ボッシュが遅れて合流したのは「アイスランドに行っていたから」らしい。ラトーナの生い立ちや軍時代についても相当詳しく描かかれているが、その辺は実際に小説を読んで頂きたい。

第2次ハフマン紛争以前から、サカタタインダストリィの欧州法人軍需企業がヴァンツァー納入先の顧客(軍・各国政府)を確保するため、新戦術の研究組織の設立を提案。当初、イギリス、ドイツでは「自国の研究成果のみで十分」「共同研究による機密情報の漏洩の危険がある」としていたが、EC軍のPMO参加・派兵でECのヴァンツァー戦術の未熟さが露呈し、各国軍は組織設立に賛同。フランスを中心に準備が進められた(デュランダルの所在地がイギリスにもかかわらず、組織名がフランス中世の騎士の剣の名にちなんでいるのは、フランス主導時の名残)。
しかし、 サカタインダストリィ事件の発覚で、各国政府は軍需企業の動きを警戒。フランスでは政権が交代し、国内企業とデュランダル設立に積極的であったサカタ社との密接な関係が切り離され、組織設立は頓挫した。そこで、イギリスが設立の代役を申し出、イギリス国内に施設が建造される運びとなった。
サカタ事件の余波で萎縮した軍需企業は、デュランダルのスポンサーとして人材・資金の提供をすることもなく、組織の指揮権はEC議会にあるとされながらも責任の所在も曖昧で、指揮方法も確立されておらず、実質的には戦略研究部をまとめあげているジード・エルガーがデュランダル全体を統率している状況であるという。
 
     
 
 
組織略図
 
   
 
《開発部》
ヴァンツァー及びその関連機器・兵装・制御コンピュータの開発と改良を行う。
《戦術研究部》
開発部で造られた兵装の試用と評価、戦術の研究を行う。5つの研究部隊の成果が各国軍へ、実戦形式によるプレゼンテーションで提供される。
《医療研究部》
ヴァンツァーが人体(パイロット?)に与える影響を研究する世界初の機関。人間工学、人体生理学、心理学の見地から研究が進められている。
 
     
 
設備・人員
 
 
《設備》
敷地約3000ヘクタール(≒東京都板橋区)。本部ビル、研究施設、滑走路(1500m)、ヘリポート、重工業研究施設、訓練施設(戦術試験場など)。
《人員》
研究員(助手・整備員含む)約300名、ヴァンツァーパイロット約40名、航空関係パイロット約20名、事務関係人員約150名、警備員が100名。
《保有兵器》
ヴァンツァー及びその装備:約80機分(常時活動可能機は約20機)、車両:150両(主に輸送・連絡用と武装化した警備用車両数両)、VTOL型短距離ジェット輸送機:4機、連絡用ヘリコプター数機。
 
     
 
 
ジード・エルガー(Zead Elger*)
 
 
45歳(2051年生まれ?)。元イギリス軍中佐。軍に24年間在籍。30代前半で対テロ特殊部隊隊長に着任。ベルリン市の軍関係施設が反戦団体により占拠された際、イギリス系軍事企業の社員が巻き込まれたため、グレーザー率いるドイツ陸軍部隊と対テロ作戦を共同で実行。この作戦で部下を失っている。
デュランダルの設立事業に参加し、デュランダルへ。指揮する隊は、デュランダルで考案・製作された技術の検証・審査をすることが目的。ドイツ基地襲撃事件の際には、EC代表の調査団としてドイツに派遣。事件解明の指揮をとり、資源地帯襲撃事件・議会場襲撃未遂事件などの被害を最小限に食い止めている。部隊内コード:ファーザー1、WAPコード:Squire(スクワイアー、従騎士)。
 
     
 
ハーミーズ・スタージェス(Hermes Sturges*)
 
 
20歳(2076年生まれ?)。U.S.N.出身。情報分析と電算装置の設計を主に担当。高いハッキング技術を持つ。在軍歴なし。13歳でUSNの大学を卒業。民間企業勤務の後、デュランダルへ。部隊内コード:ファーザー2、WAPコード:Charon(カローン、冥王星の衛星)
 
     
 
ラトーナ・ラディオーナ・ヴァシレフ(Latona Radiona* Vasilev*)
 
 
28歳(2068年生まれ?)。元ザーフトラ共和国軍中尉。ザーフトラはデュランダル開設時、ヴァンツァー戦術向上のため、技術提供と引き換えに数人のパイロットを入隊させた。ラトーナは陸軍士官学校を卒業後、国境警備を4年間勤めデュランダルへ。サカタ事件発覚でザーフトラ兵はデュランダルから引き上げたが、退役し残留。叔父セルゲイはウクライナのニコラエフ市(Nikolaev)で貿易会社を経営。経営悪化で困窮し、兵器のの密輸を行っていた。部隊内コード:アロー2、WAPコード:Koroleva(コロリョーヴァ、女王)。
 
     
 
ディーター・ボッシュ(Dieter* Bosch)
 
 
34歳(2062年)。元ドイツ軍中尉。偵察・作戦立案能力が高く評価され将来を嘱望されていたが、権力争いに疑問を感じ出世に無関心な態度をとり続けた。軍の体制に馴染めず退役しデュランダルに採用された。部隊内コード:アロー3、WAPコード:Nachtauge(ナハトオーグ、夜目)。
 
     
 
ベック・カノーヴァ(Beck Canova*)
 
 
30歳(2066年生まれ?)。イタリア人。プロサッカー選手だったが試合中の負傷がもとで引退。その後、大学で人間工学と生理学を学び、医療研究部の助手として採用された。操縦訓練を受け戦術研究部へ志願転属。部隊内コード:アロー4、WAPコード:Prodezza(プロデッツァ、武勲)。
 
     
 
エルザ・エリアーヌ(Elsa Eliane*)
 
 
22歳(2074年生まれ?)。元フランス陸軍曹長。陸軍に志願兵として3年勤務。入隊後1年でヴァンツァーパイロットに転向。フランス軍では士官学校未卒者は士官昇級は難しいため、能力を評価する上官はキャリアを積み昇級が有利になるようデュランダルへの転属を進めた。本人の希望もあり2096年デュランダルへ。部隊内コード:アロー6、WAPコード:Verseau(ベルソー、水瓶座)。
 
     
 
ロバート(Robert)
 
 
VTOL輸送機(ED1-Arbitrator)のパイロット。元イギリス空軍輸送機パイロット。
 
     
 
●各キャラの英名にある“ * ”はUS版からの引用である。日本語読みでのフルネームは、小説版を参考にした。ラトーナはロシア語だとЛатона Радиона Васильевといったところか。
●活動を停止されているのにイギリス政務次官の許可だけで「出撃」できてしまうと、首脳会議で活動停止を決定したのは何の意味があったのか、一国の政務次官の権限はEC議会を越えているのか、理解しがたいところ。デュランダルはイギリス主導の組織であるのかもしれないが、合議制で活動を決定するという運営システムを無視して、デュランダルに活動を許可するノランドの行動は、EC各国からの信頼を失い、組織を独断で動かす越権行為。デュランダル側もノランドが寛容なのをいいことに、市街戦、ハッキング、国境侵犯、ブラウネーベル基地襲撃。最低限人命を尊重すれば、悪事を暴くため(ECの利益のため)には何をしてもいいというスタンス。調査機関というのは表の顔で、実際は超法規的諜報機関のようなノリになり、途中から「ヴァンツァー研究機関」というのも吹っ飛んでしまって戦隊と化している。それならば、EC(あるいはイギリス)の情報機関・実行部隊(例:3rdのFIA・パープルヘイズ)という設定でもよかったような。
●WAPコードの和訳は公式のものではないので、別の意味が込められているかもしれない。ベルソー、カローンときたので天文用語で統一かとも思ったが見当違いだった。ちなみにロバート操るArbitratorは「仲裁人」の意。WAPパイロットと航空機パイロットの人員にあまり大差がないのは意外。