フロントミッション/グリムニル

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プラント(カンボジア)
035
カンボジア、バッタンバン県にある大規模な地下施設。経済が疲弊していたカンボジアに対し、グリムニルが巨額な資金と大企業幹部や政府高官を後ろ盾に、WAP組み立てラインを持つ地下プラントを建造。
工場が立地する区画には過去に建設された地下鉄網が広がり、それを利用した物資搬入・搬出を行っていた。
フルスクラッチでWAPを製造するラインはなく、メーカー製のパーツを組み合わせたオリジナルユニットを製造していたと見られている。
並列人格
他のS型デバイス被施術者に対し、それをインターフェースとして、他個体(人間)の人格を乗っ取ることが可能となり、オリジナルと同じ人格を持つ人間を複数存在させることができる。
ベルナルドは、第2次ハフマン紛争中に死亡しているが、S型を利用した並列人格により別個体として存命していく。ひとつの別個体が死亡した場合にも、他の個体から再び別個体を生み出すことが可能?
バーゲスト
Barghests
051
SOCOM直属特殊機甲分遣隊の対テロリスト戦特化チーム。各特殊部隊からさらに精鋭を募った隊員から構成される。隊員の多くがS型デバイス転換手術を受けている。
部隊設置の主目的はモーガン・ベルナルド及びグリムニルに関する実態調査。その任務性から超法規的活動が認められることもある。
作戦中など通信時は、フェネティクスコードを用い各隊員を「ブラック1」「ブラック6」などのように表す。
2112年、チーム内に転換手術者が多いことから再編成が決定。
ヘクター・レイノルズ
Hector Reynolds
148
生没:2052−
身長:185cm/体重:80kg
U.S.N.陸軍大佐(2090年時)、バーゲスト隊長。
2052年、誕生。72年、U.S.N.軍入隊。84年、バーゲストに転属。90年、O.C.U.軍捕虜となり、ニルバーナ機関でベルナルドによりS型転換手術を受ける。95年、カスピ海リグ占拠事件で鎮圧作戦参加。98年、ブラジルのマナウス空港FARSAによるハイジャックで人質救出作戦。2109年、カンボジア、グリムニルの地下工場制圧。11年、グリムニルのテロ阻止のため放射線アラスカ研へ。12年、同所でグリムニルと交戦鎮圧。
バーゲスト再編後の動向は不明。
FARSA
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2098年5月9日、ブラジルのマナウス空港で発生したハイジャックを主謀したテロリストのグループ(ゲリラとの見解もある)。戦地での略奪・暴行・殺人などの罪で禁固刑が確定していた傭兵らで組織されている。
ハイジャックはWAPによる襲撃で行われ、旅客機J-9の乗客621人を人質に、第三国への亡命するため?輸送機を要求。現地警察との交渉は膠着状態が続き、政府の要請でバーゲストが現場に到着。事件開始から34時間余り経過したところで、バーゲストのWAP部隊がFARSAを鎮圧。

  • 031、035、057
  • 英語表記:Grimnir

組織名は、北欧神話の主神オーディンの別称から。
テロ組織として認知されているが、活動目的や政治理念などの表明は一切ない。モーガン・ベルナルドが組織を統べている。

ここでは、簡潔な文章とするため「S型デバイスを介した並列人格操作によって、ベルナルドと同一の人格になった者」を「ノード」と呼称する。

各国軍など組織内部にいるノードを利用した情報収集・工作、各国のテロ組織と内通する一方で政治家や軍高官とのコネクション、S型とそれに関連するWAPの操縦システム技術の違法な売買で、活動拠点と資金を持つ。

モーガン・ベルナルド

  • 150
  • 英語表記:Morgan Bernardo
  • 2050?‐2090?
  • 国籍:不明
  • 身長/体重:172cm/74kg

元医学博士。
脳神経学と臨床分野において天才と謳われたバイオニューラルデバイスS型理論の提唱者であるが、この理論の発表で学会は追放された。
医学会を追われた後、多数のテロ事件に関与しテロ組織「グリムニル」を結成。
第2次ハフマン紛争では捕虜兵らを拉致しB.D.の実用試験を繰り返した。紛争中にベルナルドは死亡しているが、S型を利用した並列人格により別個体として存命していく。
2090年代に国際指名手配とされると、活動拠点を東南アジアへ移し、S型デバイス搭載機の研究開発を本格化させた。
2112年7月、グリムニルはヴァンツァーの大部隊でアラスカ研究所を襲撃した。

第2次ハフマン紛争時の工作により、ベルナルドに関するあらゆる個人情報が消失しており、出身地についても「アイルランド系」とする説があるものの、(EC?)政府は関連を否定している。また、並列人格に関する情報はU.S.N.軍の機密管理機構により軍の最高機密情報として取り扱われ、ベルナルドに関する事件が多いことから、U.S.N.軍は対ベルナルドのほぼ専任としてバーゲストを追跡している。しかしながら、並列人格という特殊性と軍部内通者の情報操作により、一貫した思想や行動を特定できない状況で確定的な情報は多くない。

各国のテロ組織に内通しており、政治家や軍高官に強いコネクションとS型技術の売買で、活動の拠点と資金を確保していた。

モーガン・ベルナルドとグリムニル略歴

2050年頃? ベルナルド誕生。
2070年代 公式な記録はないがバイオニューラルデバイス開発メタルワーカープロジェクトに参加し、S型の基礎技術を確立。
2080年代 アフリカ、ヨーロッパを中心に多くのテロ事件に関与。グリムニルを結成。
2090〜2091 第2次ハフマン紛争時、ニルバーナ機関で研究に携わる。また、兵士を拉致しS型の実用試験・転換実験を繰り返した。
U.S.N.軍に捕虜として拘束されていたO.C.U.軍所属のグレン・デュバル少尉?がノードとなり、O.C.U.軍へ復隊。フォートモーナスでの掃討作戦に参加。
紛争中、ベルナルドは死亡。
2090年代

紛争後、訓練中にノード(デュバル)が部隊の僚機を全滅させ、軍から?逃走。

国際犯として手配されるとアジア地域に移り潜伏し、東南アジアを拠点として活動。技術者やパイロットの誘拐し、発展途上国を中心に贈賄することで機体確保をしていた。

2096 次世代S型デバイス搭載機の研究開発を本格化。地下工場での違法生産と密輸出による活動資金確保の実態が顕在化し始める。ノード(デュバル)がO.C.U.アロルデシュなどでも活動。
2097 カンボジアでストライクワイバーンズ部隊と遭遇。S型専用WAPの実戦テスト?
2098

U.S.N.軍がカンボジア、カンポットのフォーチュンメディカル社施設を武力制圧。
ベルナルド(ノード?)を主犯とする事件の共犯者としてエヴグラーフ・ゲオールギー、ナザール・バジリコフ、ハンナ・シュバイツァー、デュバルの4名が国際指名手配される。

ペルーのアウサンガテ山中で、ノードが率いる武装部隊と交戦。戦闘後、ノードが自爆により死亡。

2109 バーゲストがプラント(カンボジア)に武力突入。搬出される物資の解明と移送先の調査が行われ、証拠品を押収。移送先はアラスカと判明。
2110 M.I.D.A.S.を狙った大規模テロを計画。声明はなく、目的不明。
2111 再びO.C.U.に潜伏。国家レベルでの隠蔽工作が複数行われている。
2112

7月、U.S.N.特殊放射線アラスカ研究所で大隊規模のグリムニルWAP部隊とバーゲストが交戦。戦闘によりノードが死亡。リアクター内でノード(デュバル)が逆位相フィールドに巻き込まれ消失、死亡。
ほぼ同時刻、日防軍の強襲輸送機が研究所施設内に進入し、M.I.D.A.S.本体・運用資材を強奪し離脱。

バーゲストの再編成が決定。

U.S.N.軍のグリムニルへの対応

並列人格に関する情報はU.S.N.軍の機密管理機構により軍の最高機密情報として取り扱われている。また、多発するベルナルド関連の事件に対し、U.S.N.軍はほぼ専任としてバーゲストに調査を行わせているが、ベルナルドが用いる並列人格という特殊性と軍部内通者の情報操作により、一貫した思想や行動を特定できない状況で、確定的な情報を得られていない。カンボジアの違法プラント、アラスカ研究所などでグリムニルと交戦をするも、ノードの拘束には至っておらず、WAP製造・調達ルートに関しての全容はつかみきれていない。

グリムニルとは上述のように、オーディンの別名の1つである。オーディンは中世北欧の歌謡集エッダやスカルド詩の中でさまざまな名前で呼ばれており、古ノルド語「グリムニル」とはその呼称のひとつで「頭巾を被った、仮面を付けた者」の意。
アイルランド系ならケルト神話からのネタが素直ではあるが、なぜか北欧神話。ただ、モーガンという名は、ケルト神話の戦いの女神モリガンに由来しているかもしれない。

各所から情報を拾うとモーガンは「各国のテロ組織に内通しており、政治家や軍高官の『信者』を持つ」という。いわば「ザーフトラとドイツを操ってドイツにヴァグナーを送り込むことも可能」であるし「ラーブヌイと屈託し、日防軍を利用し、大漢中をけしかけ、M.I.D.A.S.を入手する」ことも可能という破天荒な設定。実際はそこまで極端でないことを願うが、この設定はあまりに雑である。

スペイン語・ポルトガル語であろうFARSAの意味は「茶番、悪ふざけ」。結果だけ見れば、確かにといった印象だが、地元警察と政府の対応の遅さがいただけない。

5thエンディングの「やっと終わったよ。これですべて片付いた」。ウォルターは何を片付けたのか? モーガンか? では、実体のない彼をどのように追い詰めたのだろう。

別ページに載せるべき文量だが、グリムニルに情報量を補う意味で合わせてここに記す。

モーガンは自身の信条やグリムニルの目的を語ることはなく「結局、何がしたかった?」という問いに答えるに十分な情報がない。
断片的に示される情報により、モーガンは様々な活動で資金と人脈と分身を作り続けていたようだが、どこで、誰と、どのようなことを行っていたのかは定かではない。我々がバーゲストやフェンを通じて見聞きしたものは、彼らの活動のほんの一部に過ぎないだろう。
とはいえ、アラスカ研究所襲撃はかなり長期の準備期間を経てからの実行であるから、モーガンにとっても大きなイベントだっただろう。従って、そこから行動原理を導き出せないか試論する。

M.I.D.A.S.強奪の基本的な構造は以下の2つに集約される。

1. ラーブヌイはM.I.D.A.S.を入手するため、日防軍の佐々木参謀長(クーデター軍)を利用した。(ワールドヒストリカ:P.111)

2. 日防軍の佐々木参謀長(クーデター軍)はM.I.D.A.S.を入手するため、グリムニルと結託していた。(ワールドヒストリカ:P.039)

単純に読み解けば「モーガンは日防軍を介して、ラーブヌイに利用されていた」とも見える。 しかし、モーガンは各国との秘密外交でそれなりの情報網を持っていたはずで、ラーブヌイに利用されていたにしては、かなりの規模・期間を投資している。

さらに、M.I.D.A.S.が完成するのは2111年だが、モーガンはすでに2109年にWAPをアラスカへ移送する計画を企てている。モーガンはM.I.D.A.S.完成を予見、または実用化成功に関し確度の高い情報を得ていたことになる。M.I.D.A.S.がかたちとなる前に佐々木がモーガンへ強奪計画を持ちかけるとは考えにくく、 M.I.D.A.S.の周辺情報や世界情勢を掴んでいたモーガンが、ある程度のシナリオを描いた上で、日防軍へ接触を図ったのではないか。

M.I.D.A.S.強奪作戦実行までの流れ

1. 2108年、エマが金原子核線理論を発表する。

2. これにいち早く反応したのが、原子核線からのエネルギー抽出理論提唱者を輩出したラーブヌイの放射線研究所。

3. エマの理論が兵器へ流用される可能性を予測した同研究所の報告がラーブヌイ政府に提出される。

4. 政府は国営研究所の人員・資産をU.S.N.のM.I.D.A.S.開発監視に投入。 開発成功の可能性が高いと判断され、一部政府高官は物理的な奪取を画策。モーガンに協力を依頼。

5. 22世紀初頭頃には日本とU.S.N.との歩み寄りの兆候(出典:3rdネットワーク)

6. 日本のO.C.U.からの離脱を支援するU.S.N.内の議員会派・情報機関の勢力が日本のM.I.D.A.S.所持・クーデター蜂起を支援をする動き

7. U.S.N.・ラーブヌイのバックアップを得たモーガンは日本へ協力を打診

8. M.I.D.A.S.入手協力と引き換えに、日防軍はモーガンに情報、資金、潜伏場所を提供

9. M.I.D.A.S.はルカーヴによりラーブヌイへ渡る計画であったが、ルカーヴの造反により失敗

M.I.D.A.S.を爆発させようとした理由

端的には「アラスカ州ごと吹き飛ばして追っ手から逃れる」ためである。
しかしこれでは、逃れるだけにしてはやりすぎで、国土と国民とその他もろもろ失ったU.S.N.は、バーゲストを専任などといったのどかな状況ではなく、国の総力・全軍を挙げてモーガンを追うことになるだろう。陸地が削られることで海流も変化し、気候や生態系が国境に関係なく起こり、事件の扱いがより大きくなり全世界から注目されてしまう。
そうなっては今後のモーガンは動きが取れなくなり、擁護されることも難しくなってしまう。

よって、モーガンはアラスカすべてを消し去ろうとは考えておらず、爆発規模をコントロールして「必要最小限」に収める算段であった。
(実際は、モーガンが手を下さずともエマが機転を利かせて危機を切り抜けることはできたので、この描写はなかったとする。)

ところで 「必要最小限」の爆発とは何か?
そのヒントとなるものをバーゲストも我々プレイヤーもすでに目撃している。

南米ペルーの山中で、モーガンが自爆したことを思い出して欲しい。
アラスカとは規模はまったく違うが、犯行→自爆という同じプロセスをたどる。
ペルーでの事件後、ヘクターはその事件を引き合いに「死亡事例に何度も登場する人間などいない」とモーガンを語る。おそらく、ベルナルドは自らの死を過去に何度も演出し事件を錯雑とさせているのだろう。
なぜか?
それは、すべての証拠、自分も含め消滅させることで事件の背景や状況を一切消去してしまおうという現場の証拠隠滅をするため。 今回のアラスカでも、同じ方法で事件を撹乱し、混乱する各国を尻目に再び地下に潜伏しているのである。

また、カスピ海の一件でもわかるように石油資源も現役であるようなのでクリーンエネルギーとしてM.I.D.A.S.への期待はあるのではなかろうか。とすると、M.I.D.A.S. がエネルギー供給源として実用化されてしまうとほかの石油や天然ガスなどの資源の需要が著しく低下する。輸出国は打撃を受けるから、M.I.D.A.S.爆発で研究施設を一掃し、実用化を食い止めたい(遅らせたい)のかもしれない。
そういった国からの要求と、証拠隠滅、U.S.N.との関係、さまざまな利害関係のバランスを失わないかたちであのような結末に至ったのだろう。

注意すべきは、モーガンが絶妙なバランスで外交を行うことである。
いろいろな国とパイプを持つことは一見よさそうだが、身の振り方には最大限気遣う必要がある。 国家や組織同士の争いでどちらかに加担すれば、もう一方からは敵視されることになる。M.I.D.A.S.の一件で、日防軍佐々木派やフィリピン、ラーブヌイは利を得、U.S.N.は研究施設を失うという損害を被っている。 モーガンは「相当の何か」でU.S.N.にその埋め合わせをしなければならない。

――フェンリルシステムとその対応WAPに関する情報と引き換えに、U.S.N.はモーガンに加担する。