ロングセラーヴァンツァー「ウォーラス」  
(2008.2.18)

ワールドヒストリカの174ページ以降で兵装各種について解説され、機体や武装がどのタイトルに登場したかを示す表組みが掲載されている。 またこれは、各兵装の「活躍時期」にも同時に強いている。各モデルの情報が一覧でき、非常に有用ではあるのだが、正確性という点では1つの大きな問題は抱えたつくりになっている。
それら該当箇所を例示しつつ解説する。

表中の「時期」、つまり横軸では、作品タイトルが秩序ある時系列として並んでいるように見えるが、実はここに大きな問題がある(下図表参照)。
FRONT MISSION 5はご存知の通り、2086年(ハフマン危機)から2112年(アラスカ研究所でのM.I.D.A.S.強奪)での長期間が物語の舞台となっている。すなわち、1stの時代から3rd直前までである。ところが表組みでは、5thはFMOと4thの間に収まっており、時間軸を表す方式としては不完全なものになっている。

F-4 ハンドロッド

具体的には次のような問題が起こる。
ボールドアンドチャレンジ社のF-4ハンドロッド。表によれば「2089-1st-FMO-5th」の時期に使われていたものということになっている。一部を年号に置換すると「2089-2090-2091-5th」という感じになろうか。一見なにも問題ないようだが、5thでF-4ハンドロッドが登場・入手可能となるのは2112年になってからである。ということは2112年当時もF-4ハンドロッドは通常兵装として用いられていたと考えられるので、運用期間をより正確に表記すると「2089-2090-2091-2112」となる。

その上で表組みを見返すと、違和感があることに気づくだろう。
この場合、表中での「5th」の位置は2ndと3rdの間に来るのが妥当であり、4thの前(2098年以前に位置しているのは不適切である。「2091-2112」の間も存在していたであろう武器であるから、4thや2ndの欄にも横線でそのことを表記せねばなるまい。

F-4 ハンドロッド

もう一例として、レオノーラ社のウォーラスを挙げる。
表中では「5th」のみのマーキングとなっている。これはある意味正しい。だが、時期・年号を考えると説明不足である。ウォーラスは確かに5thだけに登場する機体である。しかし、時期が適切でない。

ウォーラス

ウォーラスが出現するのは、ゲームスタートからはじめての戦闘場面。つまり2090年6月10日、U.S.N.によるフリーダム制圧前となる。表中の「FMO」が示す時期を厳密に解釈し「U.S.N.によるフリーダム制圧後、O.C.U.による奪回前の時期」とするならば、「1st-FMO-5th」という並びではうまくない。また、ウォーラスは2112年のアラスカ研究所でも購入可能であるので、これもまた運用期間は3rdの時期に及ぶこととなり、表を改めると以下のようになる。ヒストリカ上のものと比べて、ウォーラスの活躍時期がかなり長いものであることがわかる。

ウォーラス

(これと似たようなことはゼニスやギザなどでも見られるが割愛する)

ここで論じた内容は、非常に(というか異常に)厳格な視点からのもので、重箱の隅をつついてるような自覚はある。
5thは複数タイトルの時代にまたがっており、加えてシミュレータでだけ入手可能なものもあり、さらには、ゲームバランスの都合上、購入可能となっているものもある。加えて、制作スタッフの個人的な思い入れで、設定などお構いなしなものもろう。よって、設定的に妥当性を保って、これらをまとめるのは難しいだろう。

ヒストリカの表記方法について、ひどい間違いをしていると糾弾こそしない。ただ、ウォーラスの例のように意外な発見があるし、ハンドロッドのように「機構がなものは一度完成形ができると改良しなくても売れ続けるのかなあ」と妄想も膨らみ、ブローニングM2のようなロングセラーの存在にも気づく。ヒストリカ内でそういうところも反映して欲しかったと思うしだいである。

 

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