ヴェン・マッカージェに捧ぐ
 
(2000.10.26)

アッシュにぞっこん(死語)な方々には、申し訳ないが、セカンドの主人公はヴェンだと信じて止まない。

確かに、ストーリー途中で無念の死に至るわけだが、彼はアッシュ以上に難儀な人間関係と過去を抱えている。

2098年のロブ・アザドのクーデター未遂事件では、関与の疑いもかけられている。子供の頃に両親をなくして、父親の親友であるサリバシュに身を引き取られ、クーデターでは、その父親代わりであったサリバシュと争うことになってしまう。最終的にはサリバシュたちとの交戦中、命を落とす。

OCUの謀略の中、クーデターを蜂起したものの、OCUや上官の謀略を許さず、グィアンダを殺害し、インターゲーンのヘンシェルも自分の手で制裁を下そうとしていた。

「フェンリルを使った革命成功など俺は認めない。
 今からお前を殺しに行く。」

OCUの画策により、利用されていたことに気付いたヴェンの心中はアッシュの過去よりも葛藤と後悔が渦巻いていたはずである。

クーデターによって街には多大な被害、多くの人々に死傷者が出てしまった。やはり、サリバシュのいうように武力蜂起は最善な方法ではなかったのか。最愛のリラも争いに巻き込んでしまった。迷いとここまで来ては引き返せないという重圧がのしかかっていたはずで、ヴェンは間違いなく物語の中心にいた。

そして、ストーリー中ではサリバシュが

「ヴェンが昔よくリラに歌ってやっていた歌だ・・・。
 神ではなく、母なる大地に歌を捧げる・・・。
 そんな内容の歌だ・・・」

という話があり、
ストーリー冒頭では、その歌が綴られる。

 ああ 母よ 美しき光の国よ

 聞こえるだろうか?
 私の言葉が 木々の声が

 昼に曇り 夜に雨降ろうとも

 母よやがて来る朝にあなたは
 限りない光を与えてくれる

 ああ 母よ 光の大地よ

 私はあなたに歌を捧げる
 神や教典にではなく 麗しき母の大地に

 「光」 ホルデディム=バニヤン


光の国=アロルデシュを変えようと、自分を深く追い詰めてしまった彼を主人公と呼ばないわけにはいかない。